CO2分離回収技術の開発に挑む 1
当社は、2025年に「MOFの開発」でノーベル化学賞を受賞された京都大学 北川 進 理事・副学長 高等研究院特別教授のグループと共同研究を進めています。
ノーベル化学賞で注目高まる、PCP(MOF)の社会実装
クラサスケミカルはカーボンニュートラル社会の実現に向け、CO2分離回収の鍵となるPCP(金属有機構造体:Porous Coordination Polymer/MOF(Metal-Organic Framework)とも呼ばれる)の社会実装を目指し、京都大学 北川進先生のグループと共同研究を進めています。2025年にはPCP(MOF)の開発がノーベル化学賞で評価され、社会実装への期待が一段と高まっています。
2025年のノーベル化学賞
2025年のノーベル化学賞は、「金属有機構造体(MOF)の開発」に携わった京都大学の北川進氏、メルボルン大学のRichard Robson氏、カリフォルニア大学バークレー校のOmar M. Yaghi氏が受賞しました。MOFはPCPとも呼ばれる化合物で、金属イオンと有機分子を組み合わせて作る「穴だらけ」の構造を持つ新しいタイプの材料です。設計性が高く、結晶構造が明確で、吸着能力が高いという特徴を持っています。穴の大きさ・形・入口の広さを分子レベルで設計できるため、特定分子の選択的吸着や反応促進が可能です。今回のノーベル化学賞の受賞により、PCP(MOF)が水資源・CO2回収・有害ガスの吸着・触媒など多様な社会課題解決に資する技術であることが改めて示されました。
PCP(MOF)を活用した研究開発
当社は2003年(当時は昭和電工株式会社)から、大学の持つ技術シーズを企業のニーズと結び付ける取り組みとして、北川先生のPCP(MOF)を活用したガスの分離回収の研究開発に取り組んできました。長年にわたり蓄積してきた技術は、2022年に開始したNEDOの「工場排ガス等からの中小規模CO2分離回収技術開発・実証/革新的分離剤による低濃度CO2分離システムの開発」にも活かされています。この取り組みの中で、北川進先生のグループと、PCP(MOF)を用いたCO2分離回収技術の共同研究を行っています。北川先生のグループが持つ材料設計・構造解析の知見と、スケールアップ、プロセス安全、量産品質の確立といった当社の実装力を組み合わせ、研究成果を産業として活躍できる形へ転換していきます。
本共同研究は9年間の計画で、3年ごとにステージゲートが設けられています。初期フェーズの分離剤構造の決定段階では、北川先生の知見をもとに多数の候補材料を合成・評価してきました。現在は第2フェーズとして量産方法・運転条件の検討を進めており、ベンチ装置を用いて実装条件(温度・圧力・不純物など)の下での性能再現性や耐久性、選択性・安定性の到達基準クリアに取り組んでいます。最終フェーズではパイロット装置での実証を予定しています。
社会実装に向けて
当社はカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを進めており、本共同研究はその中核テーマのひとつです。同時に、CO2を回収するだけでなく、どう活用するのかも重要な課題です。当社では、回収したCO2を化学品へ変換する研究開発も進めています。当技術の社会実装により、自社のCO2排出量を減らし活用するだけでなく、まだ回収されていない低濃度CO2の回収にも貢献し、カーボンニュートラルの実現に寄与していきます。
【ご参考】
カーボンニュートラルへの取り組み | 技術・研究開発 | クラサスケミカル株式会社
PCP/MOF技術 | 技術・研究開発 | クラサスケミカル株式会社
昭和電工と日本製鉄、6つの国立大学と連携し、工場排出ガスに含まれる低濃度CO2の分離回収技術開発を本格始動 | お知らせ | クラサスケミカル株式会社
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